匿名組合

 当事者の一方が相手方の営業の為に出資をし、相手方がその営業から生ずる利益を出資者に分配することを約束する契約で商法第535〜542条に規定されている。

 実質的には出資者である匿名組合員と営業をする相手方である営業者との共同企業形態であるが、営業の取引先である外部に対しては営業者だけが権利義務の主体として現れる。

 このような商企業形態は、事業参画を望む匿名組合員にとっては、外部にその名前が出ないことを望む場合、匿名組合員が当該事業の許認可を受けていない場合、営業に関与したくない場合の他に、営業者の権限で第三者との権利義務関係を解決する方が機動的な場合に利用される。

 匿名組合員は、営業者の行なう営業行為に対して第三者に責任を負うことは無いが、出資額の限度で営業損失の負担を負うことになる。

 また営業者の個人財産と匿名組合の財産は法的に区別されていないので、営業者の倒産は匿名組合の倒産を意味する。

 なお出資の構成、事業参画の経緯によっては、税務当局から仮装否認の追及を受ける場合も有りうるので、その利用にあたっては注意が必要である。

掲載1999/10/3、1999/12/29加筆