PFI

(Private Finance Initiative)

 1992年英国で導入され、市場メカニズムを導入して社会資本整備を行なう手法で、「小さな政府」や「公共事業の民営化」など行財政改革の一つの手法として考え出された。

 社会資本整備を行なう公共工事の分野に、VFM(Value for Maney)の概念を導入して、VFMの最大化を行なえるように費用・便益分析を行なって効率性を追求すると共に、社会資本整備に伴い発生する様々なリスクを官・民で分担し合う方式である。

 事業の類型としては、コスト回収方法、官と民の役割分担の違いから次の3つに分類できる。

@サービス提供型(Service sold to the public sector)・・・民間部門が社会資本施設の整備・建設と運営を行ない、公共部門は当該施設が提供するサービスの対価を支払い、当該施設のコストに充当する。

A独立採算型(Financially free-standing projects)・・・民間部門が社会資本施設の整備・建設と運営を行ない、当該施設の利用者が支払う利用料でコストを回収する。

Bジョイントベンチャー型(Joint Ventures)・・・公共部門が当該施設の財政支援を行なう形で関与し、官・民が協力して必要とされている社会資本施設を整備・建設するが、運営は民間部門が行なう。

 日本では1999年に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」が制定され、各分野でPFI乃至はPFI的事業が進められつつある。

 しかし良く考えてみるならば、市場メカニズムが成立しないからこそ公共事業となっているのであって、十分な収益性が見込まれるならば、何も公共部門で行なう必要はない。民営化すれば解決することである。

 またVFMの観点から考えると、当該社会資本施設が真に必要とされているものであるのかどうかについて誰が審査するのかが不明確で、納税者の賛否をどのような形で顕在化させるのかルールが全く出来ていない。

 英国のマスコミ紙は、1998年に「PFIはコスト高」との批判をしているし、現に官・民・住民三つ巴の訴訟も起こっているようである。

 そこで最近の英国では「PPP」という言葉が頻繁に使われ始めてきた。

掲載1999/11/21

 筆者の拙い文章を辛抱強く読んで頂いた勉強熱心な貴方に感謝して、兜x士通総研の論文集に立命館大学の岸道雄助教授が寄せられた論文「日本版PFIの課題」(2000/4発刊)をご紹介します。

掲載2000/05/14