PPP
(Public Private Partnerships)
英国で1992年以降、行財政改革の一環として進められて来たPFI事業は、事業の将来のリスクを官と民で分担し合うことをその本旨としていたが、どちらかというと民間部門へのリスクの押し付けが際立って、リスクの90%以上が民間に移転しているとも言われている。 PFI事業の契約を締結した時点で予想したリスク以外のリスクが発生しない保証はない。リスクの過度の民間部門への移転という状況の下では、将来発生する予測外の経済変動に対応せざるを得ない民間部門は、運営を任されたPFI事業の徹底的な合理化を行うことになる。 その結果、提供される公共サービスの質の低下や安全性の悪化をもたらすことになり、訴訟問題に発展しているPFI事業が多くなっているらしい。日本で騒がれているほど、英国のPFI事業が全て成功しているわけではなく、かなり多くの事業が失敗しているらしいことに注目したい。 その様な状況下の反省の下に、1998年6月に「PFIには非効率性が残されている。」とするベイツ報告が提出された。英国ブレア労働党政権は、「保守党政権下のPFIのように事業リスクの全てを民間に移転するのではなく、公的部門と民間事業者の各々の長所を引き出しながら両者が連携してプロジェクトの効率性を向上しよう。」という、官と民のPartnershipの考え方を示した。 この考え方は日本では不評の「第三セクター」方式と理念においてさほど変わらないと思われる。 と言うことは、仕組みそれ事態に問題があるのではなく、仕組みを動かす人間と組織の両方に問題があるということだと思う。 いつの世にも、官・民問わずどの組織にも要領良く甘い汁のみを啜る輩は多いものである。その様な輩にかかってしまえばどのような理想の組織も一たまりも無くすぐに疲弊してしまう。日本の第三セクターや民間企業が失敗したのは、無責任な輩が組織の中枢部を押さえ、彼らが提供した労働以上の対価を掠め取って私腹を肥やしたことに原因があるというべきである。 官尊民卑、ことなかれ主義、キャッチアップするのではない横並び意識、出る杭は打たれる、雉も鳴かずば、総平均主義、拝金主義・・・。日本の場合には、そのあたりの意識改革から取り組む必要がありそうである。 幸いにもようやく「No.1」から「Only 1」を主張する人々が増えつつある。将来はきっと良くなると思うのは筆者だけではないはずである。 掲載1999/11/21 |