ディスインターミディエーション

(Dis-intermediation)

 直訳すると「仲介が出来ないこと」から、間接金融の中心的役割を担う銀行を通じた資金の流れが縮小する現象をいう。

掲載1999/9/26、10/17一部修正


 市場金利の上昇局面で預金金利が固定・抑制されている場合に、預金者は預金を金融機関から引き上げて自由金利商品に大量にシフトしようとする。そのため銀行にとって貸出資金の調達が困難となり、事業者に対する銀行の貸出が抑制される。

 資本市場が発達していれば、資金を必要とする事業者は金融市場から資金を直接調達することになる。

 かっての証券会社のMMFや郵便貯金への資金シフトや、最近のマザーズやナスダック・ジャパンなどの動き、或いは特定資産の流動化の動きは、銀行の「貸し渋り」に端を発して事業資金を必要とする事業者が資金の仲介者である銀行をあてにせずに必要資金を直接金融市場から調達しようとする動きである。

 事業を継続するための資金が銀行から借りられないのであれば直接金融市場から調達しようとするのは当然の行為ではあるが、調達者にとって金利や調達事務コストを合計した借入コストという面で考えると、銀行借入よりも有利であるかどうかは定かではない。

 今は銀行自体が生きるか死ぬかの緊急事態であるから他人を助ける金など無いのも判るが、資金の仲介者としての本分を忘れて自己防衛にのみ徹すると、やがて社会の公器としての使命と支持を失うことになるのではないだろうか。

 産業復興時代の自信と責任感と使命感に燃えたあのBankerに一日も早く戻ってもらいたいものである。

掲載2000/03/05