導管体

 証券化商品を発行する上で、法人税の二重課税が回避されるような主体(会社、信託、組合等)

掲載1999/9/26


 導管体の仕組が何故必要なのか・・?。難しいことを考えるものだと思い続けて来た。所詮、理解不能の世界なのかもしれないが何となく解かり掛けてきたような気もします。

 投資家がある事業に投資する場合、直接自らが行なう場合と他人をして行なわせる場合とがあります。

 法人税率を50%と仮定して話を進めると、投資家が自ら事業を行なった結果その事業で1,000万円の利益が得られたとすると、法人税を差引いた500万円の純利益が手元に残ります。

 一方、他人をして事業を行なわしめた場合、投資家は出資という形態を取ってその事業に参加することになります。事業で同様に1,000万円の利益が得られたとすると、その事業主体に課せられる法人税は500万円、残りの500万円を配当という形で投資家に配分するのですが、その時に配当金に対して配当課税されることになります。配当税率を30%とすると、投資家の手元には350万円の利益しか残らないことになります。

 自ら事業を行なった場合には500万円の利益が得られるのに、他人の行なう事業に参加した場合には350万円の利益しか得られなくなる。自らが事業を行なう場合には予測可能性が高いのに、他人に事業を任せた場合にはコントロールも効かないし多くのリスクを伴うものです。リスクの高い事業から高いリターンを得られるべきだと考えるのが通常でしょう。

 ところが税制上の仕組でそのようにはなっていない。他人任せの方がリスクが高いのに収益は少ない、それでは不利だから証券化された商品など誰も購入しなくなリます。

 そこで匿名組合SPCという組織を作って、ある特定の要件を満たす場合にはREMICのような税制を設けて法人税の二重課税は行ないませんから、「タンス預金」をせずに不動産市場等に資金を提供して頂けませんかというのが、導管体の検討を始めた趣旨であろうと思いつつある。

掲載2000/01/23