チャリタブル・トラスト

(Charitable Trust 慈善信託)

 弁護士などが発起人になってSPCを設立し、その株式を全額取得し、次にこの株式を信託会社が全額譲受け、同時に信託宣言という英米法特有の制度を利用して、譲受けた株式を信託保有することを宣言する。

 この際、委託者であり受託者でもある信託会社は、例えば21年の間、証券化の目的に従い、株主権を行使する(端的に言えば、何もしない)義務を負い、信託契約満了時には会社の残余財産をすべて慈善団体に寄付することを約する。

 但しこの時点で案件は終了しており、残余財産は当初の払込資本金のみというような仕組みのこと。

 売主(オリジネーター)、スポンサーと資本関係が存在しないようにSPCを独立させ、スポンサー等の倒産リスクからSPCを隔離し、投資家保護を図る仕組みの一つである。

掲載1999/10/31


 チャリタブル・トラストがSPCの株式を100%保有することによって、資金の調達主体である会社(オリジネーター)の支配権は資本関係からは倒産隔離を確保することができる。

 但し、チャリタブル・トラストに対するオリジネーターの経営上の支配権を排除できないため、倒産隔離の項で説明した法人格同一性の法理に基づく否認は回避することが出来ない。

 役員の派遣や資産管理・運営業務の受託はオリジネーターの生命線であり、それを手放してまでオフ・バランスを達成する経営上のメリットが無いためである。

 従って特定資産の証券化商品を購入する場合には、当該証券化商品の格付のみならず、オリジネーターの経営安定性に対して十分配慮する必要がある。

掲載2000/02/27