債権譲渡登記
債権譲渡の対抗要件について、1998年「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」が成立し、債権譲渡登記制度が創設された。 債権譲渡において、債権の譲受人が債務者に対して債権者であることを主張するためには、確定日付のある書面によって、譲渡人が債務者に通知するか、債務者が承諾する必要がある。このような手続きは、単発で発生する場合には大きな問題にはならないが、リース業者やローン業者のように多数の債権を有する業者が債権を流動化させて資金の効率化を図ろうとするときに大きな障害になる。 そこで、民法の特例として、法人が有する金銭債権の譲渡等については登記を行なうことにより、債務者以外の第三者に対する対抗要件が得られるようになった。 債権譲渡登記は、法人が行なう金銭債権の譲渡及び金銭債権を目的とする質権の設定、及び登記存続期間の延長・抹消登記について、法務局に備えられた債権譲渡登記ファイルに登記することにより、債務者以外の第三者に対する対抗要件を具備できるものとしている。 ここで「債務者以外の」としているのは、債権譲渡登記の事実を知らない債務者が旧債権者に弁済した場合に新債権者から二重弁済を迫られたり、債務者が旧債権者に対して有していた相殺の抗弁を行なうチャンスを逸してしまう可能性があるため、登記のみでは債務者に対抗できない。 新債権者が債務者に対抗するためには、債権譲渡登記事項証明書の交付を受けて、これをもって債務者に通知する必要がある。 なお不動産登記の場合も同様であるが、登記の事実は対抗要件を有するのみで「公信力」を与えるものではないことに注意する必要がある。譲渡人と譲受人が共謀して虚偽の登記を申請し、実際に生じていない債権や既に消滅した債権について債権譲渡登記がされても、それによって債権の存在が公に証明されているわけではない。 債権譲渡登記事務は、当初は東京法務局民事行政部債権登録課が全国の事務を一括して取り扱うことになっている。 詳しくは法務省の該当ホームページを参照されたい。 掲載2000/02/13 |