知識市場
市場とは、売り手と買い手と仲介者が存在して形成されるが、市場経済が、商品市場、労働市場、金融市場、情報産業へと発展していることを認識するならば、その次に現れる市場は知識市場となる。 以前には報酬など要求できなかった各種コンサルタントやディーラー達がフィー・ビジネスを展開して生計を営める時代になっているし、特定資産の流動化の過程でデュー・デリジェンス業務を行なう企業も現れてきた。 それらの業務は、すべからく高度な知識の集積と経済の流れを見通す冷静な判断力を必要としている。 そのような知識を保有する者の存在はなかなか認識されないし、ましてや知識を必要としている人間がどこにいるのかは更に把握しにくい。 どこの誰かもわからない人々に向かって「私は○○について知識が全くありませんのでどなたか教えてくださぁ〜い!」などと言うのは、なかなか勇気の要るもので、多くは知りもしないのに知ったふりをしたり知ることを諦めるのが一般的だろう。 下手に教えてもらうと生半可な知識の癖に「なぁ〜んだ。そんなことも知らなかったの・・!」と馬鹿にされるのが関の山。下手するとイジメの対象になりかねない。 企業であれば、社会的信用を失いかねない。 そこで企業が必要とする知識は全て内生化さて会得しようとするNIHシンドローム現象が起こる。 しかし知識の集積・会得には膨大な時間がかかる。普段からナレッジ・マネジメント手法を取り入れて知識の共同化に努めてきた企業ならばともかくとして、泥棒を捕まえてから藁を集めに行くようではとても現代の変化の激しいラット・イヤーの時代には対応できない。 そこで知識を必要とする買い手と知識を保有する売り手、その間を取り持つ仲介者の3者の存在によって知識市場が形成されることになるのだが、売り手の能力を見極める聡明さが買い手側には求められる。 掲載2000/02/20 |